マネジメントオブザベーション(MO)

「VUCA」の時代における安全文化

「VUCA」とは、「Volatility(不安定さ)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をつなげた言葉であり、経済、企業組織、個人のキャリアにいたるまで、ありとあらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、将来の予測が困難な状況にあることをいいます。

加えて、少子高齢化、電動化、自動化、AIやIotの進展によって、今後も、高度情報化社会がますます進展していくものと思われます。

このように不確実性の高い時代においては、出来ないこと、上手くいかないことを出来るように注力するよりむしろ、出来ること、上手くいくことを増やしていくことが重要であるとされています。私たちの業界では、この概念を「レジリエンス」と呼び、過去より、予期できない条件下でも出来ることを確実に行って、必要な機能を継続可能にすることに取り組んできました。

取り組むべき課題が複数あったとしても、「無いよりは有るほうがいい」とか「しないよりはした方がいい」といった図式で論じるのではなく、その中でも重要なことは重点的に取り組むなど、優先順位を付けて対応していくことが大切です。

まさに、安全文化実装の原則である「全てが重要だとすると、重要なことがひとつもないのと同じこと」の具現化が求められている時代なのです。

目に見える課題、今思いつく課題は、多くの課題の中の一部であって、企業の中には、さらに多くの課題が存在しているはずです。さらに、それらの課題には、いくつもの課題が絡み合っているはずです。そのような中、課題に軽重を付け、重要な課題から特に重要な課題を選び出し、重点的に取り組むことによって、課題は効率的に解決されていきます。

特に重要な課題を徹底的に解決していくと、不思議とその他の課題も解決されていくという考え方は、PRA(確率論的リスク評価)をはじめとしたリスク情報の活用の考え方そのものです。

付け加えるならば、それらの答え(重要度)は企業によって全く異なります。同じ課題であっても、その軽重やつながりは、企業によって全く異なります。例えば、「5S」という課題一つとっても、業種や業態、強みや弱みによって、その重要度は異なるのです。

「VUCA」の時代だからこそ、安全文化(INSAG4)に立脚した取り組みを各社毎に深めていくことが、何より大切です。

 

ご安全に。

 

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