よくあるご質問

【リスク】

一般に、リスクとは「発生確率と想定される影響の積」とされています。
また、リスクとは、“どんな悪い事態が起こり得るのか”、“それはどの程度起こりやすいのか”、“起こった場合の影響はどのようなものか”を考える3つの質問に対する複合回答であるとも言え、これらの質問に答えることにより、リスク上重要なシナリオを特定することが可能になります。
そのような中、㈱ゼロナイズは、リスクを一言で表すとしたら、それは「予知」であると捉えています。

【確率論的リスク評価(PRA)】

通常、理工学の分野では、安全率(マージン)を見込み、合理的に達成可能な安全性をもって設計されます。これを決定論的評価と呼びます。
決定論的評価のように、一定のマージンを見込み、機器を設計することには合理性がありますので、これまでの科学技術の進歩の中で、正当で、多大な役割を果たしてきました。
一方で、想定(設計)を超えた事態が起きることは誰にも否定できないことから、想定の範囲を超えた事態を想定していくことも必要です。
しかしながら、ただやみくもに想定外を想定しようとしても、多大な労力がかかることから、想定外の想定においては、リスクという概念を取り入れ、一定の合理性を持たせます。このためのツールが、確率論的リスク評価(PRA)です。一方、法令等に定める設計基準を拠り所とした安全解析(DBA)は、保守的な仮定によって、すべての不確実さに対処しようとするため、すべて保守的な方向に偏ることになります。
しかしながら、保守的な仮定は、一般的な安全裕度は与えるものの、設計限界を超えるような事態については、十分な安全裕度は与えません。
すなわち、想定外のリスク(残余のリスク)は無視できないということであり、仮に、法令や保安規定、社内ルールを完璧に遵守したとしても、安全を保証することはできないということです。
確率論的リスク評価(PRA)は、このギャップを埋めるために活用されるものであり、技術的な根拠を与えるものです。

【マネジメントオブザベーション(MO)】

マネジメントオブザベーション(MO)とは、各種のマネジメントの結果は人の「ふるまい(behavior)」に表れると考え、従業員の「ふるまい」を「観察(Observation)」することによって、管理職によるマネジメントの効果を高めていく手法です。即ち、「ふるまい」を観察することによって、マネジメントの有効性を観察(オブザベーション)することから、マネジメントオブザベーション(MO)と呼ばれます。具体的には、あるマネジメントの結果として期待される「ふるまい」を期待事項(ファンダメンタルズ or  マネジメントエクスペクテーション)として事前に設定し、MOによって観察された「ふるまい」と期待事項とのギャップを活用した「コーチング」によって相手の考えを引き出し、相手の自己実現や成長を促すとともに、マネジメントの改善事項を抽出していきます。このような「観察」と「コーチング」を繰り返し行うことによって、自ら気付く能力を高め、(人に見られていなくても)常に誰かに見られているという自覚も促していきます。常に人に見られていると自覚することによる生産性の向上は、ホーソン効果で説明することができます。なお、本年度のMO研修へのお申込みはこちらからどうぞ。皆様のご参加をお待ち申し上げます。

【ホーソン効果】

その昔、シカゴのホーソン工場(ウエスタン・エレクトリック社)で、作業環境が生産性にどう影響するかを測定するテストが実施された際、周囲からの関心を集める中で実験が行われたため、作業者自身が注目されているという意識を持ち、生産性を高めたという結果が得られました。このように、人に見られることによって、集中力が高まる、生産性が上がる、丁寧な行動を行うといった効果をいいます。

【ファンダメンタルズ(ビヘイビアマーカー)】

MOにおけるビヘイビアマーカーとは、経営トップをはじめとするマネジメント層が、従業員の行動(ふるまい)に関して、その実力をモニタリングし、評価していく指標のことです。
一方、医学界においては、日常行動や症状に着目し、いつもの行動(症状)が変化したことをもって、初期の段階で、発症や進展の症状を捉えることに活用されている指標を言います。
なお、ファンダメンタルズとは、国や企業などの経済・財務状態などを表す指標のことをいい、具体的には、経済成長率、物価上昇率、財政収支、売上高や利益などの財務務状況などを指します。また、これらを分析することをファンダメンタル分析といいます。
これらはすべて、MOにおける「期待事項」と同じ位置付け(役割)といえます。

【STAR】

私たちは一般に、PDCA(P:plan , D:Do , C:Check , A:Action) という言葉をよく使いますが、米国では似たような言葉として、STARという言葉をよく使います。
STARは、S:Stop , T:Think , A:Action , R:Review の略です。
立ち止まって、考えて、行動して、振り返る という意味ですが、行動(ふるまい)を基軸にPDCAを回していくことに他なりません。
私たちはともすれば、計画を立てるのはとても上手だけど実行やチェックが弱かったり、計画を立てっぱなしだったり、簡単に実現可能な計画しか立ててなくても何とかなったりなど、C(check)とA(Action)が弱い場合が散見されます。
PDCAは、P(Plan)から下って、その結果をマネジメントしていくという考え方ですが、STARは、 S(立ち止まる) という正しい行動(ふるまい)をスタート点として、その後の行動を改善していくという考え方です。
結果よりむしろ、行動をマネジメントすることを重視する米国の原子力発電所のマネジメントを象徴している言葉だと思います。

【原子力安全文化】

安全文化という用語は、チェルノブイリ原子力発電所の事故を契機として用いられるようになりました。
国連機関であるIAEA(INSAG)の定義では、「安全の問題に、その重要性にふさわしい注意が必ず最優先で払われるようにするために、組織と個人が備えるべき統合された認識や気質であり、態度である」とされています。
これが実務に適用されていくにしたがって、その行動様式として、「安全最優先」「良好なコミュニケーション」「リーダーの価値観と行動」・・・などのふるまい(behavior)が整理されてきました。
ここで、もう一度IAEAの解釈に立ち返ってみると、「その重要度にふさわしい注意が必ず最優先で払われるように」とされているように、「重要度」に応じた業務を行うことを基本とするマネジメント用語であることに気付きます。原子力発電所において最も重要度が高いのは、「炉心損傷の防止」に他なりません。
なお、確率論的リスク評価(PRA)マネジメントオブザベーション(MO)は、重要度を基軸にマネジメントするツールであり、これらのマネジメント手法によって安全性を極限追求し、その副産物として、業務を効率化していきます。その結果、安全文化に優れた米国の原子力発電所では週休3日(新たに休日となる月曜日は管理職の研修日に充当し、人材育成によって安全性をさらに向上させます)を実現しています。このことがまさに、原子力安全文化を実装した姿といえます。

【リスク情報の活用とは】

一般に、「リスクマネジメント」は、リスクを管理するためのマネジメント技術ですが、「リスク情報の活用」とは、想定リスクおよび想定外リスク(残余のリスク)に関する情報を活用して、重要度に差を付け、特に重要なことは“重点的”に、普通に重要なことは“相応”に、それ程でもないことは“それなり”に行っていくマネジメント技術です。
米国の例では、特に重要な事項に対して、重点的にリソースを投入するマネジメントを行った場合(重点志向のマネジメント)でも、全体としてのパフォーマンスが向上することが確認されています。

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