STOP LOOK & LISTEN(STOP&LOOK)の米国における定義は、「常に不確実性を見つけようとする個人・組織の態度、心理的状態」とされています。
言い換えると、「常に残留リスクを見つけようとする個人・組織の態度、心理的状態」と言えます。
世界・経済情勢においても、ますます不確実性が高まっていく昨今、「不確実性」というワードが、テレビ、新聞等で報じられることも多くなっていますが、こと、原子力産業では、何十年も昔から、「不確実性」、即ち、「残留リスク」の重要さが強調されてきました。
過去の原子力災害に鑑みれば、想定リスクに対する備え(設計)だけでは不十分であることは自明ですので、いかに想定外に備えるか(想定外を想定するか)が何より重要だからです。
確率論的に言えば、もし、原子力災害が発生すると仮定すると、それは、想定外のリスクで発生する確率の方が高いと思われます。
では、実務において、どのように「STOP&LOOK」を実装すればよいのでしょうか?
「STOP&LOOK」の実装とは、「残留リスク」への対応、「想定外事象」への対応を、個人、組織のレベルで行っていこうとする安全文化の作り込みと、それを実現するマネジメントを行っていくことに他なりません。
ですので、まずは、安衛法に基づく「リスクアセス」「KY」「RKY」を含む、「リスクマネジメント」全体に関する正しい理解が必要です。原子力従事者の皆さまは、さらに「リスク情報の活用」にも学びを進めて頂ければ幸甚です。
その上で、「STOP&LOOK」、即ち、「残留リスク」への対応、「想定外」への対応をマネジメントしていくことになりますので、MO(マネジメントオブザベーション)とセットで展開していくのが効率的です。
悪い例になりますが、例えば、「手順書においてSTOPする場所を設定する」というマネジメントでは不十分です。それは単に手順を充実するというだけの行為ですので、常に残留リスクを見つけようとする個人・組織の態度、心の状態の実装には成り得ないからです。「STOP LOOK & LISTEN」の実装とは、原子力安全文化の実装そのものなのです。
ですので、「STOP&LOOK」を実装するマネジメントを考えて、仮説検証型プロセス(シングルループ学習とダブルループ学習の組み合わせ)を踏まえたマネジメント(即ち、MO)がとても有効になります。
以下は、伝わる方にしか伝わらないと存じますが(💦)、だからこそ、「不確実性に対処するマネジメントの実装」のためには、「課題関連図と戦略的重要課題」の設定、「5WIHの展開と短期PDCA」が最も確実なマネジメントになります。
そして、MO(マネジメントオブザベーション)を使って、これらのマネジメントにPDCAを廻していくのです。
蛇足になりますが、MOは、「マネジメント」をオブザベーション(観察)するツールですので、観察するだけでは不十分です。「コーチングスキル」は確かに重要ではありますが、そもそもの「マネジメント」を設定しておかないと、何を観察しているのか、全く分からなくなってしまいます。
MO(マネジメントオブザベーション)というマネジメントツールを活用して、「マネジメントとは何ですか?」「あなたのマネジメントについて教えてください」「あなたのマネジメントは数えられますか?」「マネジメントに何回PDCAを廻しましたか?」に全員が答えられるように、安全・品質を一緒に深めて参りましょう!
そうすれば、自ずと「期待事項」にPDCAが廻りますので、ご安心ください!
まだまだ暑い日々が続いておりますが、どうぞ、ご安全に!
