マネジメントオブザベーション(MO)

非常口はどこですか?

安全文化に定評のある米国の原子力施設における会議に参加すると、会議の冒頭、「この建物の非常口は〇〇〇です」という発言を聞くことが度々あります。

米国の原子力施設は、通常の施設より災害のリスクが高いのでしょうか?

もちろん、そのようなことはありません。

これは、階段の手すりと同じように、いまそこにあるリスクに対して、そして、そのリスクは決して高くないとしても、、、無料で、しかも、今すぐにできる「正しい行動」を積み重ねることによってのみ、まだ見ぬリスク(残余のリスク)に対処できるという、安全文化の原理原則を愚直に実行しているのです。

会社員時代、実は私も真似をしてみましたが、「部長がまた変なことを始めた・・・」という冷めた視線を感じ、また、私自身も、非常口を確認する本当の意味をよく理解できずにいたため、自然消滅してしまいました。

非常口を確認する意味を、「災害時に速やかに避難するため」と、物理的な解釈しかできていない場合、階段の手すりと同様、なかなか定着しません。

しかし、物理的な意味を超えて、「今できるリスク低減対策を、ひとり一人が今すぐに行うことによってのみ、重大災害のリスクを低減できる」と理解できたならば、それは当たり前の行動になります。

まさに、安全文化が実装された状態です。

当たり前のことが、当たり前にできるということは、表彰に値するのです。

危険予知活動をはじめとする現場の安全管理システムは、もちろん、効率的で高い効果のある取り組みですが、それはQMSに基づく最低限の取り組みです。

原子力災害に代表される重大災害は、想定外に起こります。死亡災害も不祥事も然りです。

重大災害や不祥事が発生した場合、新聞やテレビで常に聞く言葉が「想定外だった」ということからも、お分かりいただけると思います。

想定外を想定すること、即ち、残余のリスクを低減させる取り組み無くして、安全や品質は確保できないのです。

固有で、特別な、原子力施設であるならば、なおさらです。

私どもが提供しているマネジメントオブザベーションは、正しい行動によって、残余のリスクを低減させようとするマネジメントツールですが、現場毎に残余のリスクが異なることから、現場毎に細かな調整が必要となります。

そこに、私どもの出番があります。

是非、皆さまの現場に合った形で、私どものノウハウを効果的にご活用頂ければ幸甚です。

本日もご安全に。

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