マネジメントオブザベーション(MO)

生産性向上とマネジメントオブザベーション(MO)

新型コロナウィルスへの対応として、リモートワーク(在宅勤務等)が広がっています。働き方改革の流れの中、単なる価値観の変化に留まらず、生産性の向上につながることが期待されています。

一方、これまでお伝えしてきたとおり、安全文化が実装された米国の原子力発電所では、既に、週休3日を実現しています。

我が国において、週休3日を実現しようとするならば、生産性をなお一層向上させなければなりません。

「生産性」を示す式には色々ありますが、経営改善計画(経産省)を作成する際には、以下の式で表します。

生産性=付加価値額/従業員数

ここで、付加価値額とは「営業利益+減価償却費+人件費」とされていますので、数式上、「安全性の向上」というキーワードは見えませんが、分子には「減価償却費」と「人件費」が含まれています。生産性を向上させる様々な改善活動に際しても、ここに注意が必要です。「設備投資を行い」「人件費を向上させていくことができる」ことは即ち、生産性を向上させていくことになるという視点です。

例えば、設備・人材への投資によって安全性の向上を行えば生産性が向上するというイメージですが、そうは言っても資金は限られますので、闇雲な投資はできません。

リスクマネジメントを一言で言うと「重要度に応じたマネジメントを行うこと」となります。「全てが重要だとすれば、それは重要なことが一つもないのと同じこと」です。有限な時間、有限なリソースという制約条件を解決するため、米国では確率論的リスク評価(PRA)という手法を駆使して効果的な投資を行っています。

ISO9001に示される品質保証の基本的な考え方も「重要度に応じたマネジメント」を行うことですし、IAEAに示される安全文化の定義も、マネジメントオブザベーション(MO)も然りです。

安全性の向上を「安全対策工事」一辺倒で行ってしまっては元も子もありません。人材への投資も「重要」だということです。あくまで「設備」と「人」のバランスが大切です。

だからこそ、マネジメントオブザベーション(MO)による人材育成が大切だとされているのです。

ご安全に。

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